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第1章

 誰でもできる簡単セットアップ――4の4

Windows NT Server

石川光一

 Windows NTは,その先祖たるOS/2が対象としていたような単なる基幹系業務システム向けだけではなく,より広い適用範囲を持つ汎用的なOSとしての能力と評価を身に付けつつある.わが国においても,特に1996年1月のバージョン3.51日本語版の発売と,その後のマイクロソフト社のインターネット戦略の進展により,今までUnixの独壇場とも言えたインターネット環境におけるサーバOSの市場に大きく食い込もうとしている.

1.Windows NTワークステーションとサーバの違い

 Windows NTには,Workstation(以下NTワークステーション)とServer(以下NTサーバ)の2種類の製品が存在する.このうち,NTワークステーションはスタンドアローンのシステムあるいはクライアントシステム用のOSとしての性格を持ち,対するNTサーバは,データベース,アプリケーションあるいはファイルサーバとしての能力を充実させたものになっている.特にネットワーク環境から見ると,NTサーバには,NTワークステーションには含まれていないApple社のMacintoshシリーズパソコンに対するファイルサービス(AppleShare互換)や,最大256回線のPPP接続のサポート(Workstation版では1回線のみ)などの機能が付け加えられている.また,NTサーバでは,IIS(Internet Information Server:マイクロソフト社のftp/gopher/WWWサーバ)が動作するので,価格は高くともインターネットでサーバとして利用するのであれば,ぜひともNTサーバを購入するべきである.

2.ファイルサーバとしてのNTサーバ

 NTサーバは,DOS/Windows 3.1/Windows 95/Windows NTユーザへのサーバ機能と同時に,Macintoshユーザに対してもファイルサービスを提供することができる.これにより,MacintoshとDOS/Windowsパソコンの間でのファイル交換を容易に行うことができ,特にWindows 95あるいはWindows NTとMacintoshとの間では,一部制約があるものの,漢字など全角の日本語文字を含んだ長いファイル名(MS−DOSの8.3形式に限らない最大256文字まで)を利用することが可能になっている.

(1)NTサーバの設定
 一連の操作を行うには,管理者としての権限が必要であり,通常はadministratorとしてログインして行う.また,適宜NTサーバの再起動が必要となる.

[必要なサービスのセットアップ]
 「コントロールパネル」の「ネットワーク」設定で,必要なネットワークカード,プロトコルなどのソフトを構成後,「サーバ」サービスおよび「Macintoshサービス」を追加・設定する(図1).

 図1 ネットワーク設定

[共有ボリュームとディレクトリの設定]
 まず,Macintoshサービスでファイルを共有するには,「ファイルマネージャ」を起動し「Macfile(I)」メニューから「ボリュームの作成(C)...」を選択し,Macintoshからアクセスできる領域をつくる.次にこうして作成したボリュームに対して,ファイルマネージャの「ディスク(D)」メニューの「共有(A)...」を利用してDOS/Windows 3.1/Windows 95クライアントに対する共有サービスの設定を行う(図2,3).

図2 Macintosh用ボリュームの作成図3 共有ディレクトリの設定

[ユーザの登録とアクセス権の設定]
 こうしてサービスの対象を設定した後には,まず「ドメインユーザマネージャ」を利用してドメインへのユーザおよびグループの登録を行う.その後,再び「ファイルマネージャ」を利用して,「Macfile(I)」メニューの「アクセス権(P)...」でMacintoshユーザに対するアクセス権を設定する.また,DOS/Windows 3.1/Windows 95/Windows NTユーザに対しては,「フィルマネージャ」の「ディスク(D)」メニューの「共有(A)...」で表示されるダイアログボックスの中の「アクセス権」ボタンを押して必要なアクセス権限を設定する(図4,5).

図4 Macintoshからのアクセス権図5 DOS/Windowsからのアクセス権

(2)DOS/Windows 3.1ユーザからの利用
 これらのユーザは,Windows NTサーバに付属してくるLan Managerソフトウェアをシステムに組み込んでから利用する.サーバの共有資源にアクセスするには,「ファイルマネージャ」の「ディスク(D)」メニューから「ネットワークへの接続(N)...」などを利用する(図6).

 図6 Windows NTでの共有設定

(3)Windows 95ユーザからの利用
 これらのユーザは,デスクトップ上に表示されている「ネットワークコンピュータ」をダブルクリックしてネットワークを一覧していくと,必要なフォルダなどが表示されてアクセスが可能になる.DOSあるいはWindows 3.1用の16 bitアプリケーションからこれらの資源にアクセスするには,フォルダを選択した状態で,「ファイル(F)」メニューから「ネットワークドライブの割り当て(M)...」を選び,割り当てたいドライブ名を指定する.

(4)他のWindows NTマシンからの利用
 Windows NTの場合にはコントロールパネルの「ネットワーク」設定で,「ワークステーション」ソフトウェアを追加する.その後再起動してログインすれば,ファイル共有サービスが利用可能となる.サーバの共有資源にアクセスするには,「ファイルマネージャ」の「ディスク(D)」メニューの「ネットワークへの接続(N)...」などを利用する.

(5)Macintoshユーザからの利用
 通常のAppleShareサーバへのアクセスと同様に,メニューの中の「セレクタ」で,「AppleShare」と適切なAppleTalkゾーンを選んで利用したいNTサーバを選択し,必要なボリュームをマウントする.

3.リモートアクセスサーバとしてのNTサーバ

 NTサーバでは最大256回線のRAS(リモートアクセスサービス)を提供することができる.ただし,一般のシリアルポートを利用する場合には,データの送受信ごとにCPUへの割り込みが発生するため,実際に同時にサービスを提供できるのは5回線程度までである.これ以上の回線数をサポートする必要がある場合には,専用のカードあるいはターミナルサーバなどと組み合わせる必要がある.
 なお,現行のNTサーバではPPPによるTCP/IP,IPX,NetBEUIプロトコルの通信が可能であり,DOS/Windows 3.1/Windows 95/Windows NTを利用してアクセスするユーザにはLANでつながっているのと全く同等なファイル共有などのサービスが提供されるが,残念ながらAppleShareあるいはARA(Apple Remote Access)はリモートサービスとして実装されていないため,Macintoshユーザの場合には単なるPPPサーバとしてしか利用できない.

(1)NTサーバの設定
[ネットワークの設定]
 コントロールパネルの「ネットワーク」設定で,「リモート アクセス サービス」を追加する.その後表示される「リモート アクセス セットアップ」の画面で,「追加(A)...」ボタンを押して,サービスを提供するポート(通常はシリアルポート)とそこに接続されている通信機器を設定する.一般的なモデムの場合には,Windows 95の場合と同様に機種を自動検出させることも可能である(図7).

 図7 リモートアクセスセットアップ

 こうしてポートの設定ができた後は,「ネットワーク(N)...」ボタンを利用して「ネットワークの構成」画面を表示させ,サーバが受け入れる通信プロトコルを選択する.「暗号化の設定」については,実際に接続してくるクライアントに対応させて指定する必要がある.クライアントがWindows 95/Windows NTのみの場合には「Microsoft暗号化認証が必要」を選択してもよいが,MacintoshやDOS/Windows 3.1のクライアントがある場合,一般的には「クリアテキスト認証を許可」を選択しておく必要がある(図8,9).

図8 リモートアクセスで用いるネットワークプロトコルの設定図9 リモートアクセス用のTCP/IP設定

 必要なプロトコルを選択後は対応する「構成(O)...」ボタンを押して詳細設定を行う.例えば,TCP/IPを設定する場合には,クライアントが使用するIPアドレスを決定する方法およびサーバ側からIPアドレスを割り当てる場合にはその範囲を指定する.

[リモートアクセス管理]
 次に,「リモートアクセス管理」プログラムを起動して,必要なユーザにリモートアクセスの許可を与える.「ユーザ」メニューの「リモート アクセスの許可(P)...」を選択して表示されるダイアログボックスの中で,「ユーザ(U)」の欄からユーザを選択し,「ユーザに対してダイアルインの許可を与える(D)」をチェックする.より高いセキュリティや通信料金の問題などがある場合には,必要に応じてコールバック(一度クライアントからのアクセスを切った後サーバ側からアクセスし直す)の指定も可能である(図10,11).

図10 リモートアクセス管理プログラム図11 リモートアクセスをユーザに許可する

(2)クライアントマシンからの利用
 PPPサーバとしてTCP/IP通信を行う場合には,DOS/Windows 3.1/Windows 95/Windows NTあるいはMacintoshの機種を問わず,基本的にはネットワークサービスプロバイダにダイアルアップ接続する場合と同様の方法で設定を行う.

(3)リモートアクセスの管理
 リモートアクセスサービスにより,外部からのアクセスを許可する場合には,施設内のおよびインターネット接続している他のサイトへのセキュリティに大きな影響を与えることを理解する必要がある.Windows NTを利用してPPP接続サービスを提供する場合には,「Guest」アカウントではPPPを許可しない,などの注意が必要がある.また,リモートアクセスを利用したログは,「イベントビューア」により確認ができる.初期設定のままではイベントの数が多く見づらいかもしれないが,「ログ」メニューで表示対象を「セキュリティ(C)」に絞り込んだり,「システム(V)」表示のままでも,「表示(V)」メニューの「特定のイベント(T)...」を利用して,イベントIDが20050であるもののみを表示すれば,比較的確認がしやすくなる(図12).

 図12 リモートアクセスのログ

おわりに

 Windows NTサーバは,ここであげたファイルあるいはリモートアクセスサーバとしての機能のほかにも,Internet Information Server(IIS)の標準添付などにより,インターネット環境でも便利なサーバOSに成長していくことが期待されている.現在はWindows NTにDNS(Domain Name System)あるいはsendmail(メール転送プログラム)といったインターネット構築の根幹となるソフトウェアが付属しておらず,また市場的にも製品・フリーソフトが多くは流通していないことが大きな欠点となっているが,こうした問題がマイクロソフト社の発表通りにNTサーバへの標準添付の形で解決されれば,より一層普及に拍車がかかるものと考えられる.