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第1章

 誰でもできる簡単セットアップ――2の2

MacintoshでつなぐISDN回線

牧原真治

 MacOSにおけるネットワークの接続と言うと,AppleTalkとTCP/IPの2つのプロトコルによる接続を考慮しなければならない.この部分が,ほかのOSと異なる点である.

1.端末型接続――クライアント

(1)Apple Remote Access(ARA)
 ISDNで接続する場合もアナログ回線で接続する場合も,その方法はまったく同じである.違うところはモデムがターミナルアダプタに変わるところだけである.MacOS対応のターミナルアダプタであれば,ARA用のスクリプトが付属しているので,これを機能拡張フォルダに入れ,ARAのコントロールパネルのモデムの設定の部分でこのターミナルアダプタの設定ファイルを選択すればよいだけである.ここで注意しておかなければならない点は,AppleTalk自体が非同期通信しかサポートしないため,64,000 BPSの通信速度は最大限まで生かすことはできず,38,400 bpsまでしかスピードを上げることしかできない.詳しくはARAの項目を参照されたい.

(2)TCP/IP
 TCP/IPで接続するためには,SLIPあるいはPPPというプロトコルで接続することになるが,現在ではPPPが利用されることがほとんどである.PPPで接続するためにはMacPPP, FreePPPなどのフリーウェア,Internet Connect PPPといった商品がある.Macintoshのシリアルポートの通信最高速度は以前は38,400 bpsであったが,PowerMacintoshになってから改善され115.2 Kbps以上まで利用できるようになった.MacPPPの古いバージョンのものは,115.2 Kbpsまでしか利用できないものがあるので,最新版であることを確認する必要がある.これさえ注意すれば,あとはアナログ回線と設定は変わりない.
 TCP/IPで通信する場合,非同期38.4 Kbpsが標準であり同期64 Kbpsは特殊型である.同期64 Kbpsはターミナルアダプタの中でデータを蓄積できるようにして,データの送信停止を極力行わないようにした結果,64 Kbpsという数字が出せるのだと考えたらよい.ターミナルアダプタとコンピュータの間は非同期で128 Kbps程度のスピードで通信できなければ意味がない.つまり,シリアルポートが遅いコンピュータでは機能を生かし切れないということである.

2.端末型接続―サーバ

 ARAサーバは,Apple Remote Access Personal Serverを使えば同時には1ユーザしかアクセスできない.同時に複数のアクセスをサポートする場合には,Apple Remote Access Multiport Serverを利用する必要がある.そのほかには,NetEntrance, QuickStream/3などの製品が複数アクセスをサポートする.QuickStream/3は,TCP/IP, ARA両方サポートしている.NetEntranceは,当初はTCP/IPはサポートしていなかったが,バージョンアップしてTCP/IPもサポートすることになり,1台でARAとPPPサーバが構成できるようになった.NetEntranceが当初PPPをサポートしていなかったために,宮崎医科大学では両方サポートできるNetBlazerも利用してきたが,NetBlazerは,telnetを使って設定を行うのに対し,NetEntranceの設定用のソフトはGUIで使いやすい. (1)NetEntrance  NetEntranceの管理用のソフトウェアの構成は,次のようになっている(図1).

 図1 NetEntranceの管理用ソフトの構成

この中の管理者用アプリケーションを立ち上げると,図2の画面があり,さまざまな設定が可能である.

 図2 NetEntrance管理者用アプリケーション設定画面

 この画面の下に,AppleTalk IP Gatewayを設定する部分があるので,これを設定することでARAで接続してもTCP/IPを使用できる.ここにはPPPサーバの項目はないが,新しい管理者用ソフトではPPPサーバの項目が追加される予定である.なお,最新情報は<http://www.bug.co.jp/products/nete2.html>にある.


筆者の所属する宮崎医科大学では1995年2月にネットワーク増強工事があり,それに伴って学外からのアクセスをスムーズにするための作業も並行して行った.当初はISDNのARA,PPPサーバをNetBlaserで賄う予定であった.ターミナルアダプタには日立のNB64Bを使用したが,NetBlazerとNB64Bを使ってARAのサービスを行うことができなかったためにNetEntranceを導入することになった.NetBlazer最新版では,内蔵用ターミナルアダプタを用いてARAデジタルをサポートできるようになっている.NetBlaserでアナログ回線もサポートしているが,ARA, PPP両方サポートできるモデムを検討したが,国内製品は接続できず結局Microcom社のモデムを使用することになった.ARAだけあるいはPPPだけサポートするだけでよいのなら選択枝は広がるが,両方サポートできるものは少ないようである.これまでの経験はhttp://www.miyazaki-med.ac.jp/medinfo/95JCMI_ prog_papaer/papers/2-C-4-1/tomioka.htmlに公開している.

3.ネットワーク型接続

 LAN間接続といってもピンとこないかもしれないが,ネットワークごと接続してしまおうというものである.MacOSを基準に考えるとAppleTalkとTCP/IPを考慮する必要がある.インターネットさえ使えればよいというのであれば,TCP/IPだけ考えればよい.AppleTalkとTCP/IP両方サポートしている製品は比較的少なく,TCP/IPをサポートする製品はかなりの数がある.価格は,サポートするプロトコルの数にはあまり関係ないようである.いくつか紹介する.

(1)RouteOne,RouteOne Ether(BUG)
 一番古くからあるAppleTalkのルータで,マニュアルあるいは自動で接続できる.その後に出たRouteOne EtherにはDDP−IPルーティング機能もある.Bチャンネルを2つ使って128K BPSで通信することも可能.執筆時点ではRoute101という新製品がアナウンスされており,価格が引き下げられる模様である.
 RouteOneの管理用のソフトウェアの構成は,図3のようになっている.この中の,管理者用アプリケーションを立ち上げ,現在のセッティングを表示させると図4の画面が表示される.
 このセッティングはRouteOne Etherではないので,EtherTalkの部分は設定が書き込まれていないが,RouteOne EtherではAppleTalk IP Gatewayが可能である.なお最新情報は<http://www.bug.co.jp/product/r1.html>,<http://www.bug.co.jp/product/r101.html>にある.

図3 Route One管理用ソフトの構成図4 Route One管理用ソフト設定画面

(2)RT100i(YAMAHA)
 TCP/IP,IPXをサポートするが,AppleTalkには対応していない.20万円を切る価格設定で一気にISDNの利用が増えたものと思われる.同じくBチャンネル2つを利用して128 Kbpsで通信可能.なお最新情報は<http://www.rtpro.yamaha.co.jp/RT100i/>にある.

(3)Cisco1003(日本シスコ)
 TCP/IPをサポートする.Bチャンネル2個を同時に使用しさらに圧縮をかけることで最大512KBPSで通信可能.最新情報は<http://www.cisco.co.jp/JAPANESE/ product/catalog.new/1003/1003.html>,<http://www.cisco.co.jp/JAPANESE/product/ 1003primer/readmefirst.html>にある.

[参考文献]
 1) 快速!快適!ISDNパワーアップ大作戦.Internet Magazine,9:64−95,1995
 2) ISDN事始め.日経マック,4:146−167,1996