目次索引著者紹介

第1章

 誰でもできる簡単セットアップ――4の1

Macintosh用ARAによる接続

内山映子

 やっと自分のMacintoshを勤務先や研究室のLANに接続することにも成功し,インターネットにもアクセスできるようになり,仕事の効率も上がるのだとわかってきた頃のユーザが次第に考え始めるのが「仕事場の環境をそっくりそのまま自宅や出張先で再現できないものか」ということだろう.仕事場のMacintoshの働きがよければよいほど,Macintoshへの依存度は高くなる.それだけに,同じ環境がよそでは得られないがために仕事場でしか仕事ができないというのがなんとも口惜しい.家に帰ってから,あるいは出先から,勤務先や研究室と同じ環境を作ることができさえすれば,あの原稿を〆切りに間に合わすことができるのに,まだやり残してきた仕事を片付けることができるのに.ネットワークを自由に使いこなすことの便利さに気付いてしまうと,それがまったくない環境にいるのがなんとも不便に感じられるようになってくる.こんな風に思い始めたということは,パワーユーザへの第一歩を踏み出したという証拠だろう.そんなニーズにお応えするのがこのApple Remote Access(ARA)である.

1.ARAとは

 Apple Remote Access(ARA)はもともと勤務先など遠隔にあるMacintoshに電話回線を用いて簡単にアクセスするためのソフトウェアである.このソフトウェアを利用することによって仕事場にあるプリンタやファイルサーバが仕事場以外のところから使えるだけでなく,インターネットへのアクセス(IP通信)が可能となる(図1)(次項の「Apple IP GatewayによるTCP/IP接続」参照).ただ,このシステムを利用してIP通信を行う場合には,接続サイトの中でDDP−IPゲートウェイという機能を持つ通信装置が必要になってくる.これはAppleTalk上でIP通信を行うための各種の変換を行っている.Fast Pathなどのハードウェア製品があり,Macintoshにソフトウェアを入れて実現するものもある(Apple IP Gateway,Apple社).

 図1 ARAの概念図

 ARAは一時Macintoshに標準で付いていたが,現在はversion2.0として「サーバ」と「クライアント」が別々に販売されている.これからもわかるように,ARAを用いる場合には仕事場のMacintosh(「サーバ」)と自宅や移動先で使うMacintosh(「クライアント」)のそれぞれにARAをインストールしなければいけない.Macintoshにはモデムがあらかじめ内蔵されているものもあるが,そうでないMacintoshを使う場合にはモデムが必要である.サーバ,クライアントの両方にモデムがインストールされていないといけないのは言うまでもない.またARAで使用できるモデムは最低14400bpsの速度のものでないと使いものにならない.もしARAで利用するために初めてモデムを購入するのならば,あらかじめその旨を販売員に伝えてどれがよいか相談するのもよいだろう.

2.ARAのインストール

 インストールするのは極めて簡単だ.ARAのソフトウェアを「インストーラ」でインストールする.しばらくするとインストールが正常に終了したというメッセージが出るのでMacintoshを再起動する.インストールはこれで完了である.

3.ARAの設定

(1)サーバ側の設定
 インストールが終了したら今度は各種の設定を行う.  図2 「リモートアクセス設定」画面
図3 「利用者&グループ」画面図4 利用者の情報を登録

(2)クライアント側の設定
 クライアント側の方も同様にインストーラでソフトウェアをインストールし,接続する相手先のアカウント,パスワード,電話番号などを一旦設定すると,後は自動的にサーバへ電話をかけてくれ,接続されると仕事場のMacintoshとまったく同じ環境が可能になる(図5).接続できたことを確認できれば,後はクライアント側のMacTCPの設定等によってインターネットを利用することもできるが,クライアント側のMacintoshに独自のIP番号を割り当てた上で必要なソフトウェアがインストールされていないと使いものにならないのは言うまでもない.あくまでもARAはサーバ側との接続ができたということだけであり,ARAがつながったイコールインターネットとつながった,ということではないことを強調しておきたい.

 図5 クライアント側の設定

4.複数のユーザの運用

 ARAユーザが増えるとそれに応じて回線とサーバを複数運用する必要が生じることがある.あまりにユーザが多い場合には,5台のARAサーバとDDP−IPゲートウェイ機能を1台でまかなう機能を持つ製品[Net Entrance,(株)ビーユージー]を使うのも1つの方法である.