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インターネット通信ソフトの入手とインストール 

金子周司

研究生活にとって重要な情報はほとんど文書や静止画で伝達される.研究上で最低限必要なインターネットの用途は表1に示した5つに集約できるだろう.そしてこの5つの用途は最低3つのソフトウェアで使いこなすことができる.これを「インターネット3種の神器」と勝手に呼ぶことにする.

表1 研究上でのインターネット5用途、3ソフトウェア
WWW 電子メール telnet
ある内容に関する公開情報の閲覧や発信
個人間あるいはグループ内での連絡
遺伝子等,情報の検索とデータ解析
文献データベース検索,電子図書館
ソフトウェア等の入手
◎はその用途で標準的に使われるソフトウェアを示している.

1.インターネット3種の神器の機能

 前節で提案したインターネット5用途のための3ソフトウェア(図1)についてMacintoshとWindowsを対比させながら紹介する.

 図1 インターネット3種の神器のアイコン

バージョンは1996年4月の時点で最新のもの.左列はMacintosh,右列はWindows95のものである.

(1)World Wide Web(WWW)ブラウザ
 今やインターネットの代名詞になってしまったWWWを体験するためのソフトウェアだが,現在標準となっているのがNetscape Navigatorである.このソフトウェアは高速,高機能であり,MacintoshでもWindows(3.1あるいは95)でも同じ操作性で使える特徴がある(図2).現在は日本語化されたものが市販されているが,教育機関等では無償で使ってよい英語版のフリーウェアもあり,その入手法については後で詳述する.

 図2 MacintoshでもWindowsでも共通のWWWブラウザNetscape Navigator

日本薬理学会の英文誌ホームページ <http://dbs.pharm.kyoto-u.ac.jp/> にアクセスした画面.
 Netscape Navigatorを使いこなすことで,WWWから情報を得るのみならず,ネットワークニュースを読む,遺伝子や文献データーベースにアクセスする,ソフトウェアを入手する,というインターネットの大半の資源を活用することができる.Netscape Navigatorはまた,圧縮復元や画像ソフトウェアなどと組み合わせて使うことによって,それらを自動的に起動してくれるため「インターネット統合ソフトウェア」として機能する.インターネットを使うということは,Netscape Navigatorを使うことだと言っても過言ではないかもしれない.

(2)メールソフトウェア
 電子メールを使って個人間あるいはグループ内で連絡を取り合うためのソフトウェアである.電子メールの概念は図3上に示したが,他の2つのソフトウェアとは異なり単独でパソコンをインターネットに接続しても機能しない.直接的には所内LANなどに設置されている電子メールを仲介する(多くはUnix)サーバに送信した結果,相手近くの別のサーバにまで電子メールは自動的に配送される.従ってメールが相手に読まれるためには,相手がそのサーバまでメールを受け取りにいかなければならない(実際には相手がメールソフトウェアを立ち上げるだけのことである).また,相手がメールを受け取るコンピュータは自分が使っているコンピュータと必ずしも同一機種ではない.
 電子メールは高速,安価に加え,文書の再利用が可能であり,論文原稿としてワープロのファイルを添付することもでき,日常的な研究連絡(図3下)に極めて便利なことは経験的に誰もが認識する.さらに,特定グループに同一メールを配信してくれるメーリングリストに参加したり,遺伝子解析や機械翻訳を自動的に行って返送してくれるメールサーバのような無料サービスを利用することができる.

 図3 電子メールのしくみと画面例

電子メールは計算機のバケツリレーで運ばれる.相手のコンピュータは自分のコンピュータと同じではないかもしれないが,文書は正確に伝えられる.
 電子メールを扱うソフトウェアとしては,MacintoshではフリーウェアのEudora−Jが事実上の標準であるが,最近では市販化されたEudora Proを使う人も増えてきた.Windows環境では従来の3.1の頃はインターネットを構築するために必要だった市販TCP/IPパッケージ(ChameleonやPC/TCPなど)に添付されてくるものを中心として,シェアウェア(使用後に送金するシステム)のAL−Mail等が使われてきた.Windows95になってMicrosoft社はシステムの標準としてメールの機能を持たせたが,Macintoshなどとのメールおよび添付ファイルの互換性を考慮すると,お勧めしたいのは市販のEudora Pro日本語版である.

(3)端末ソフトウェア
 パソコンをインターネットに接続することで,過去のようにUnixを覚えてコマンド操作するような場面は少なくなってきたが,文献検索システムなどの一部ではいまだにサーバに接続(telnet)して,パソコンを「端末」として使う必要がある.この用途に用いるのが端末ソフトウェアであり,Macintoshでは無料のNCSA Telnet−Jが標準的に用いられる.Windowsでは3.1環境の場合,市販TCP/IPパッケージに付属しているものが一般的であった(図4)が,Windows95になってシステムに標準でtelnetソフトウェアが内蔵されるようになった.

 図4 端末ソフトで遠隔地の文献データベースに接続する

Windows 3.1J用市販TCP/IPパッケージに含まれるwvtnを使ってPaperChase <pch.bih.harvard.edu> にアクセスした例.自分のパソコンがデータベースサーバの操作端末になる.
 端末ソフトウェアはUnixやメインフレームを操作するために用いるが,最近ではいわゆる商用パソコン通信がインターネット接続されたため,パソコン通信への接続にも使うことは可能である.しかし,いずれにしても文字だけの通信に限られ,やがて一般的には消えていくネットワークの使用法だろう.

2.ソフトウェアの揃え方

 インターネット3種の神器が使えれば,インターネットを享受する必要十分条件は整う.しかし,問題になるのはそれらをいかに揃えるかということである.そこで,入手する方法について概略を説明する.考えられる方法とソフトウェアの組み合わせを表2に示した.
表2 3種の神器の入手方法
Macintosh Windows
N E T N E T
システム標準付属 −−− −−◎
市販品を購入する ○○− ○◎−
書籍・雑誌から入手 −○○ −−−
パソコン通信で入手 −○○ −−−
ftpで入手する ○○○ ○−−
N Netscape Navigator 2.01(Macintosh,Windowsともに)
E Eudora-J(Macintosh)Eudora Pro(Windows)
T NCSA Telnet-J(Macintosh)Telnet(Windows)
◎は唯一の方法,○は用いられる方法,−は不可能
(1)Netscape Navigator
 Netscape Navigatorは最近,種々のインターネット通信パッケージソフトやモデム,あるいはワープロソフトに付属するようになってきた.これらを購入するのが最も簡単な入手方法だろう.しかし,このソフトウェアはバージョンアップが頻繁に行われているので,最新版を入手するためには,書籍やパソコン通信での再配布が認めてられていないことからNetscape社のftpサイト <ftp.netscape.com> に直接アクセスする必要がある.

(2)ftpの実際
 ftpを行うためにはプラットフォームごとに次のような方法がある.

<Macintoshの場合>
 Macintoshの場合はFetchを使う.Fetchは書籍やパソコン通信から入手可能なftpソフトウェアである.詳細についてはこの項の後ろにあるコラム「Fetch」を参照されたい.

<Windows95の場合>
 Windows95の場合は,「インターネットエクスプローラ」あるいはシステム標準付属のftpコマンドを使う.

 図5 Windows95付属の「インターネットエクスプローラ」でNetscape社ホームページにアクセス
インターネットエクスプローラはWindows95をプレインストールした機種にはすでにインストールしてあることが多いが,Windows 3.1JからのアップグレードではWindows 95 Plusパッケージを購入して自分でインストールしなくてはならない.  図6 Windows95のftp機能を使ってNetscape社anonymous ftpサイトにアクセス

MS-DOSプロンプトからftpコマンドと入力する.主なftpコマンドについては実際例中の解説を参照されたい.また,ftpプロンプトから「help コマンド名」と入力すると簡単な解説が表示される.

<Windows 3.1Jの場合>
 Windows 3.1Jの場合は,市販TCP/IPソフトウェアパッケージに付属のftpソフトを使う.

(3)メールソフトウェア
 MacintoshのEudora−Jはインターネット経由のftp(ftp.taiiku.tsukuba.ac.jpのpub/eudora/),パソコン通信(NIFTY−Serve FMACPRO LIB 2)などで入手できる.Eudora Pro日本語版はMacintosh版,Windows版ともにクニ・インターナショナルから定価9800円で市販されている.

(4)端末ソフトウェア
 MacintoshのNCSA Telnet−Jはインターネット経由のftp(ftp.riken.or.jpのpub/mac/net/)やパソコン通信(NIFTY−Serve FINET LIB 4),各種書籍などで入手できる.Windows95の場合はシステム標準付属のTelnetで機能は十分と思われる.

3.書籍や雑誌の選択

 一般書店で購入できるコンピュータ関連の月刊誌の中で,「インターネットマガジン」には毎月CD−ROMが付属しており,これがMacintoshおよびWindowsともに最も豊富なインターネット関連のソフトウェアを収録している.インターネットプロバイダに関する最新の情報も多く,この本を購入されるのが最も早道だろう.  もし使っているパソコンにCD−ROMドライブがない場合はフロッピーディスクが添付されているインターネット関連の書籍を購入する必要がある.Macintoshの場合は本書の前作「マッキントッシュとインターネット(羊土社,1995年発行)」にEudora−J,NCSA Telnet−J,Fetchがいずれも収録されているので,これを最初に買い求めるとよい.