どんなMacintoshにも,LocalTalkのインタフェースが装備されている.
Macintoshの背面ののアイコンで示されるプリンタポートがこれである.専
用のコネクタを購入すれば,すぐにAppleTalkのネットワークを運用すること
ができるので,このインタフェースを利用してIPのネットワークを利用する
ことが可能である.ただし,その場合はLocalTalkとIPのネットワークとの間
にDDP-IPゲートウェイという装置を設置する必要がある.この装置は複数の
Macintoshで共用できるものの比較的高価であり,さらにLocalTalk自体のス
ピードもやや遅い.
さて,まずEthernetとLocalTalkのどちらを使うかを決定しよう.
という条件のすべてを満たす場合にはLocalTalkを使うことができる.逆に,
Ethernetのインタフェースを増設することができないMacintoshの場合には,
LocalTalkを使わざるを得ない.しかし最近では,どんなMacintoshでも
Ethernetに接続できるので,そうでない場合にはEthernetを使うことをお勧
めする.プリンタの共有などのためにすでにLocalTalkを使っている場合で
あっても,全く独立してEthernetに接続してIPの機能を利用することができ
る.このあとには,それぞれの場合について,少々技術的な内容および実際
の接続の方法について説明する.
「Thick」,「Thin」は媒体となっている同軸ケーブルが太い,細いという 意味である.Thick Ethernetは一番初めに開発されたEthernetであり,古く から利用されている(図1).かなり太めの同軸ケーブルをあらかじめ建物 内に敷設しておく.この同軸ケーブルは歴史的に黄色いケーブルであること が多いのでイエローケーブルなどと言われている.そして,必要になったと きに必要な場所に同軸ケーブルの横に小さな穴をあけて「トランシーバ」と いう装置をかみつくように接続する.トランシーバとコンピュータの間は 「トランシーバケーブル」で接続する.トランシーバやトランシーバ(AUI) ケーブルが高価だったり,同軸ケーブルの加工に専用の工具が必要であるな どといった理由で最近ではあまり利用されていない.しかし一度設置してし まえば非常に安定性が良いので,建物内の基幹ネットワークなどに利用され ている.
図1 Thick Ethernet
Thin Ethernetでは,テレビの同軸ケーブルほどの太さの同軸ケーブルを利 用する(図2).Thick Ethernetが1本の長いケーブルを使うのに対して, コンピュータとコンピュータの間にケーブルを1本ずつ使う.ケーブルと ケーブルとはT型コネクタを使って接続し,T型コネクタの残り一端をコン ピュータに接続する.ひとつながりのケーブルの一番端のコンピュータに接 続したT型コネクタの余った端には,ターミネータという部品を差し込む必要 がある.トランシーバなどが必要ないので安価で,一時期よく利用されて た.しかし,新たにコンピュータを接続するためには一旦どこかの接続をは ずす必要があるが,ケーブルのどこかがはずれると全体の通信ができなくな るという性質があり,他のユーザに迷惑をかけることになるため,最近では それほど使われなくなった.
図2 Thin Ethernet
Twisted Pair Ethernetでは,電話などに使われるツイストペアケーブル (より対線:2本ずつより合わせてあるケーブル)を利用する(図3). ケーブルの両端には,通常の電話のケーブルのモジュラープラグよりもひと まわり大きなモジュラープラグがついている.このケーブルを使って,コン ピュータと「ハブ」(Hub: 車輪の中心の部分をハブという)とを接続する. つまり,ハブを介して複数のコンピュータを接続する形になる.たった2台 を接続する場合でもハブを購入しなければならないという問題があるもの の,新規の接続が簡単,ケーブルの単価が安い,接続にあたって他に迷惑を かけないなどといった利点から,最近よく使われるようになっている.特 に,電話と同程度の配線で利用できることから,構内電話の配線を流用した り,構内電話とまとめてあらかじめたくさんのケーブルを敷設しておく(先 行配線)といったことも行われている.
図2 Twisted Pair Ethernet
DDP-IPゲートウェイの市販製品としては,FastPathおよびGatorBoxが古く から有名である.最近になってこれら以外の製品も発表されている.これら の製品は,DDP-IPゲートウェイというよりは,もともとAppleTalkのルータと して作られたものである.AppleTalkにはLocalTalkのほかに,Ethernet上の AppleTalkであるEtherTalkがあり,LocalTalkおよびEtherTalkの間のパケッ トのやりとりを中継するというのが本来の機能である.せっかくEthernetに つながっているのだから,この装置を利用してMacintoshからIPネットワーク を利用することができたら,という着想でDDP-IPゲートウェイの機能が付加 された.Macintoshは専用のドライバ(現在では,このあとで説明する MacTCP)を利用して,IPのパケットをDDPのパケットの中に入れてDDP-IPゲー トウェイに送る.DDP-IPゲートウェイではDDPのパケットの中からIPのパケッ トを取り出し,Ethernetに送り出す.Ethernetから来たIPパケットは逆の経 路をたどってMacintoshに届く.
最近になって、DDP-IPゲートウェイの機能をMacintosh上のソフト ウェアで行うソフトウェア("Apple IP Gateway")がアップルから 発売された。安価なソフトウェアなので、これまでのように高価な ハードウェアを購入する必要がなく、手軽である。しかし、ネット ワークを利用する人が一人でもいれば、このソフトウェアをインス トールしたMacintoshを動かし続けなくてはいけないという点が不便 である。
通常,接続されたEthernetに割り当てられたIPネットワークのアドレスのう ち,ある範囲のIPアドレス群をDDP-IPゲートウェイで利用する.Ethernet側 から見ると,この範囲のIPアドレスに対する通信はすべてDDP-IPゲートウェ イが代表して応答する.LocalTalkに接続されたMacintoshは,これらのIPア ドレスのうちの1つを自分のIPアドレスとして利用する.Macintoshが自分の IPアドレスを決めるには2つの方法があり,1つにはDDP-IPゲートウェイに 問い合わせて空いているアドレスを適宜割り当ててもらう方法(動的割り当 て),もう1つとしては,あらかじめこの範囲からIPアドレスを選んで Macintoshに設定しておく方法(静的割り当て)がある.Macintoshの設定の ためには,このどちらの方法を採るのかを知る必要があるが,これはDDP-IP ゲートウェイの管理者に聞く必要がある.