はじめに
後になってみたら,今年は日本のネットワーク普及元年かもしれない.パソコン通
信は円熟期に入っており,大学,研究所,企業を含め,ほとんどの研究環境に構内ネッ
トワークが敷設され,それらが次々にインターネットと接続されつつある.WWWという
見知らぬパケットが日本中を席巻したのも今年である.研究ネットワークとして発達
してきたインターネットという言葉が,テレビ,新聞に登場するに及んで,そのバイ
オ研究における利用法,活用法を一刻も早く紹介したいと構想したのが本書である.
この本は,Macintoshを持つ医学・バイオ・ゲノム研究者に,ネットワークの活用法
を解説するものである.ネットワーク接続の必要がない「Macintosh単体で動く通常の
ソフト類」の解説は一切入っていない.しかし,Telnetし,FTPし,電子メールを書
き,ニュースを読むなど,インターネットで提供されているほとんどのジャンルのサー
ビスを受けるためのソフトウェアの紹介と解説をカバーしている.さらに,一般のネッ
トワーク関連ソフトウェアだけでなく,バイオ研究専用のネットワーク検索ソフトウェ
アや,バイオ関連のネットワーク資源への道しるべとなる情報(メーリングリスト,
文献検索法)も取りそろえてある.
準備の整ったMacintoshでインターネットの海に漕ぎ出すのは,実に爽快である.
Macintoshを使えば,クリックのみの操作で最新のサービスを最高の使い勝手で利用す
ることができる.その反面,Macintoshの画面の向こう側で行われている高度な作業が
見えないため,インストール時に戸惑ったり,一旦うまくいかなくなると泥沼に陥っ
てしまう.そこで,Macintoshをネットワークに接続する様々な方法(パソコン通信,
所内LAN,大学等の計算機センター,インターネット,Unixの使い方)についてはもと
より,ネットワーク管理者と相談すべき事項についても説明した.
ネットワークの進歩は速い.普及も進んでいる.早晩,本書の内容が追いつかず,
情報が不適切になっていくものと思われる.そこで,最新版を次のWWWサーバで提供し
ていくつもりである(http://www.ncc.go.jp http://www.dna.affrc.go.jp).
なお,本書は,著者らがメーリングリストというネットワーク機能をフルに活用し,
一度も全員で顔を合わせず書き上げたことを申し添えたい.この本の内容に関する要
望,追加訂正等についても,このメーリングリストのアドレスmacbook@gan.ncc.go.jp
宛に電子メールを送ることで著者らに連絡が可能である.
最後に,メールリストを本にするという,今までにない作業を引き受けてくださっ
た羊土社編集部の眞野さんに,この場を借りてお礼申し上げる.
1994年9月
鵜川義弘
(執筆者を代表して)